空振りセラピスト
疾患の病理は学んだけれど、それと評価をどう結びつければ良いか、何をすればいいか分からないと思うことはありませんか?
立位姿勢の評価は対象者の短縮筋と弱化筋について教えてくれる便利な評価です。
今回受傷または手術した部位と短縮・弱化している筋を組み合わせて評価することで対象者の状態を理解することが容易になり、筋力の評価項目の目星をつけやすくなります。
立位姿勢の分類
①立位姿勢には大きく分けて4種類あります
- 基本的立位
- ロードーシス
- スウェイバック
- フラットバック
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まずは、姿勢には4つあることを理解し、対象者はどの姿勢に当てはまるのかを評価することが大切です。
では、立位をどのように観察したら良いかについてみていきます。
立位姿勢の観察の基準(矢状面)
①足部(外果の少し前方)からの垂直線が基準
②理想的なアライメントによる基準線は以下の部位を通過
- 外果の少し前方
- 膝関節の少し前方
- 股関節の少し後方
- 腰椎椎体
- 肩関節
- 外耳
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評価した立位姿勢は評価にどのように役に立つのでしょうか?
評価した姿勢がどれに当てはまるのか?
姿勢と筋のバランスの特徴についてみていきます!
立位姿勢の評価と筋バランス
①基本的立位
- 矢状面では、外果の前方からの垂線に大転子、肩峰、耳垂、頭頂がくる
②ロードーシス
腰椎前弯と骨盤前傾が特徴
- 矢状面では、外果の前方からの垂線より軽度前方に大転子、軽度後方に肩峰、軽度前方に耳垂と頭頂がくる
筋のアンバランス:大臀筋下部の筋力低下、腰・胸腸肋筋、多裂筋の過活動
③スウェイバック
骨盤後傾・前方移動と胸椎後弯、腰椎平坦化が特徴
- 矢状面では、外果の前方からの垂線より高度前方に大転子、軽度前方に耳垂と頭頂がくる
筋のアンバランス:胸椎伸筋、内腹斜筋、大臀筋上下部、腸腰筋の筋力低下、腹直筋の過活動
④フラットバック
胸腰椎がまっすぐであることと骨盤後傾が特徴
- 矢状面では、外果の前方からの垂線より軽度前方に大転子と耳垂と頭頂がくる
筋のアンバランス:筋力低下は腸腰筋、筋短縮はハムストリング
空振りセラピスト
これらの不良姿勢は、普段の日常生活や仕事のときの姿勢、骨粗鬆症などによる脊柱の骨折などによって起こっていると考えます。
これにより体幹や股関節のインナーマッスルの活動低下、体幹や股関節のアウターマッスルの過活動が起こっており、スウェイバック、ロードーシスは腰痛の多い姿勢と言われています。
不良姿勢の原因の生活習慣と関連付けてリハビリができれば持続的なリハビリの効果も上がるかもしれません。
対象者の疾患と姿勢を考えたリハビリプラン
骨折の術後の対象者であれば、どの筋が侵襲されているのかを確認することは大切です。
侵襲された筋肉が回復するまで、ADL動作をどう組み立てるのか計画を立てると対象者に優しいリハビリとなると考えます。
例えば、腰椎圧迫骨折で円背姿勢の場合
- 病棟ではPトイレには移乗できている
- 寝返りは腰椎回旋が入ってしまうかもしれない
- 腰椎圧迫骨折により骨折部の多裂筋群は働きにくいだろう
- 姿勢は円背なのでインナーユニットや大臀筋、腸腰筋、脊柱起立筋が弱いだろう
- 立ち上がりの際に体幹前傾がうまく行えず骨盤後傾のまま立ち上がりそう
リハビリは
- 寝返りはベッド柵を引っ張って腰部に回旋ストレスがかからないようにしてもらおう
- 起き上がりのときに腰椎の回旋が起きないように自分で電動ベッドをギャッジアップできるように指導してみよう
- うまく立ち上がれるために大臀筋と大腿四頭筋が働くようリハビリしてみよう
- べッドの高さは立ち上がりの前進相が出にくいので高めにして動作を楽にしよう
- 肩甲骨内転筋(菱形筋や僧帽筋中部・下部繊維)は筋力アップしておき、骨折部が安定したら(主治医に確認)脊柱起立筋や多裂筋の筋力訓練にすぐに移行できるよう座位・立位はできる範囲で整えておこう
など工夫しながらリハビリを行うことも大切だと思います。
最初に計画した通りに進まないことも多くありますが、対象者の状態をみながら計画を修正しアプローチを変えながら、対象者にあった痛みの少ない優しいリハビリを行うことも大切だと思います。
参考文献
筋:機能とテスト ー姿勢と痛みー ケンダル/プロバンス