関節可動域訓練が上手くできれば立ち上がりや歩行などの日常生活動作を改善できると考えます
関節可動域訓練を妨げる要因として、スパズムや防御性収縮があります
ここでは股関節屈曲の関節可動域訓練についてまとめてみました
スパズムとは
・痛みなどに起因する局所的で持続的な筋緊張の亢進状態です
・外傷、疼痛、炎症、感染、不動、関節の変位、不合理な姿勢や動作によって筋スパズムが起こります
正常な関節運動を誘導し、不合理な姿勢や動作を改善することでスパズムが改善すると考えます
防御性収縮
・防御性収縮の原因となる刺激には痛みがあり、その他にもセラピストの他動運動に対する恐怖心などがあります
痛みは不随意な筋収縮を出現させ関節の動きを止めるように作用するため、痛みを出さない、恐怖心を与えないこと、安心感を与えるように体を支えることは防御性収縮を出させない上で重要と考えます
他動運動で股関節屈曲する順序について自分なりに考えてみました
対象者:背臥位
セラピスト:対象者の下肢の横にまっすぐ座る
①大腿後面と踵を優しく把持する(手掌で支える)
②ハムストリングスの防御性収縮を起こさないよう注意しながら股関節屈曲・膝関節屈曲を誘導する(大腿後面で支える手と踵で防御性収縮をモニターしながら行う)
③ハムストリングスが緊張しそうになったら少し止めて待ち、股関節周囲筋が働くのを待つ
④止めて待つことで対象者の足が軽くなり、緊張が緩和したら股関節屈曲90°まで誘導する
股関節屈曲させるときに気を付けるポイント
・大腿の後面と踵をセラピストの手でボールを支えるように支え防御性収縮を起こさせない
・セラピストの体幹の動きで股関節屈曲を誘導する(手先で操作しない)
・強引に股関節屈曲を誘導しない
・近位の手で誘導する
・呼吸(呼気)に合わせて誘導する
・セラピストも呼吸を止めない
関節可動域訓練を丁寧に行うことで関節可動域が改善することはもちろん、対象者の動きを感じることができ、どのような代償動作が起こっているかについても気づきが増えてくると感じます